戸籍を集めたら、次はどうする?――相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い

書類と眼鏡のイメージ

前回の記事では、相続人を確定させるために戸籍謄本を出生から死亡までさかのぼって集める理由をご紹介しました。では、戸籍がすべて揃ったら、次は何をすればよいのでしょうか。

今回は、戸籍をもとに作成する「相続関係説明図」と「法定相続情報一覧図」という二つの書類についてご説明します。名前が似ていて混同されがちですが、役割はまったく異なります。

この記事でわかること

  • 相続関係説明図とは何か、どんな場面で使うか
  • 法定相続情報一覧図とは何か、どんな場面で使うか
  • 二つをどう使い分ければよいか

相続関係説明図とは

亡くなった方と相続人の関係を、家系図のような形で一枚にまとめたものが「相続関係説明図」です。婚姻や養子縁組は二重線、離婚・離縁はその上に×を入れるなど、実務上よく使われる書き方の慣行があります。法律で定められた公式な様式があるわけではなく、法務局が公開している記載例(後述)を参考に作成するのが一般的です。

この図の一番の役割は、相続登記(不動産の名義変更)を法務局に申請する際、戸籍謄本の原本と一緒に提出することで、審査後に原本を返してもらえる点にあります(原本還付)。本来、原本の還付を受けるにはコピーを別途提出する必要がありますが、相続関係説明図があればこの手間が省けます(法務局の取扱いによります)。

ただし、相続関係説明図はあくまで私的な書類で、法務局などによる公的な認証を受けたものではありません。単独で「相続人はこの人たちです」と証明する力はなく、戸籍謄本の原本とセットで使うことが前提になります。

法定相続情報一覧図とは

一方、「法定相続情報一覧図」は、相続関係説明図と似た内容を法務局の認証を受けて公的な証明書にしたものです。認証を受けた一覧図の写しは、戸籍謄本一式の代わりとして利用できる場面があり、法務局で無料で複数枚発行してもらえます。

この「複数枚」がポイントです。銀行での預金解約、証券会社での名義変更、年金事務所での手続きなど、相続では複数の窓口へ同時に書類を出す必要が出てきます。一覧図の写しがあれば、これらの手続きを並行して進められ、戸籍謄本の原本を使い回して一つずつ順番に手続きする必要がありません。なお、実際に利用できるかどうかは提出先の機関ごとの運用によるため、事前に確認しておくと安心です。

なお、法定相続情報一覧図の作成申出は、行政書士が依頼者に代わって行うことが法律上認められています。

法定相続一覧図

出典:法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」を(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001397926.pdf)加工して作成

なお、上記のひな形はタイトルを「相続関係説明図」に変更するだけで、そのまま相続関係説明図としても使えます(法務局の認証を受ける欄がない点だけが異なります)。

どちらを選べばよいか

不動産の名義変更(相続登記)だけで手続きが完結する場合は、相続関係説明図の作成で十分なことが多いです。一方、銀行・証券会社・年金事務所など、複数の窓口に同時並行で書類を出す必要がある場合は、法定相続情報一覧図を作成しておいた方が、手続き全体がスムーズに進みます。

項目相続関係説明図法定相続情報一覧図
作成相続人自身や専門家が自由に作成する私的な書類相続人等が作成し、法務局へ申出て認証を受ける
公的な認証なしあり
主な用途相続登記の原本還付相続登記のほか、預貯金の払戻しなど各種相続手続き
複数の窓口への提出戸籍原本を使い回して順番に提出無料で複数枚交付され、並行して提出可能

2024年4月からは相続登記が義務化され、相続の開始及び所有権の取得を知った日(=相続により不動産を取得したと知った日)から3年以内に登記をしないと過料の対象になり得ます(2024年4月1日より前から知っていた場合は、令和9年3月31日までの経過措置があります)。不動産を含む相続では、これまで以上にこの二つの書類を早めに準備しておく意味が大きくなっています。

不動産の名義変更(相続登記)について

相続登記そのものの申請手続きは、司法書士の専門分野です。当事務所では、戸籍収集や相続関係説明図・法定相続情報一覧図の作成といった書類面のサポートを行い、登記が必要な場合は司法書士と連携してご案内しています。

よくある質問

Q. 相続関係説明図と法定相続情報一覧図、両方作る必要がありますか?
A. 必ずしも両方必要というわけではありません。手続き先が法務局だけであれば相続関係説明図で足りることが多く、複数の窓口に並行して提出する必要がある場合は法定相続情報一覧図を作成する、という使い分けが一般的です。

Q. 法定相続情報一覧図の作成には、戸籍謄本一式が別途必要ですか?
A. はい。作成の申出には、前回の記事でご紹介した出生から死亡までの戸籍謄本一式が必要です。この記事は、その戸籍が揃った後の話になります。

Q. 相続関係説明図・法定相続情報一覧図があれば、相続手続きはこれで終わりですか?
A. いいえ。これらはあくまで「誰が相続人か」を示す書類です。相続人が複数いて、具体的にどの財産を誰が取得するかを決める場合は、別途「遺産分割協議書」の作成が必要になります。こちらは今後の記事で詳しくご紹介します。

まとめ

戸籍がすべて揃っても、それだけでは各種手続きはまだ終わりません。相続関係説明図・法定相続情報一覧図という「使える形」に整えることで、初めて銀行や法務局での手続きに進めます。周南市・山口市・防府市など山口県内でご自身のケースでどちらが必要か迷う場合は、お気軽にご相談ください。

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